妹の真希はよく笑う可愛いやつだった。幼さが残った綺麗な顔立ちで、
運動は少し苦手だけれど利発なやつで、自慢の妹だった。
うちは母子家庭で、母は仕事で家を空けることが多かったから、
俺が真希の面倒を見て一緒に遊ぶことも多かった。
中学に進むと俺は部活仲間と遊ぶことが多く、妹も思春期にさしかかり、甘えてくることはなくなったが、
それでもやっぱり仲が良く、冗談を言い合ったり真剣な相談をしたりした。
俺が高一、真希が中三になった年だった。俺は五月に生まれて初めての彼女ができ、
放課後部活が終わった後はいつも彼女とすごし、初体験も彼女とした。
家に何度かつれてきて、母親にも真希にも紹介した。
母親も真希も俺に彼女ができたことを喜んでくれたが、真希は二人で話をしている時に彼女の話をすると、
「お兄ちゃん彼女に夢中で私の話聞いてくれなくなったね」と少し怒ったような口調で言うことがあった。
俺はまだ甘えごころが抜けていないんだろうと思っていたが、
考えてみればこの頃から真希の様子はおかしくなり始めていた。
六月の中ごろに、真希が体がだるいから学校を休むと言い、
そのあとも学校が夏休みに入るまで二、三回同じ理由で学校を休んだ。
もともと体も丈夫じゃなかったし、次の日にはけろりと学校に行くので、さして心配はしていなかった。
夏休み、俺は部活にバイトにと駆け回り、友人と遊び、彼女と何度もデートした。
朝九時には家を出て、帰ってくるのは大抵夜の八時過ぎだった。
母親は相変わらず保険の仕事が忙しかったから、晩御飯は真希が作ってくれていたが、
彼女とデートで夕食まで済ませてくることが多かったので、真希の作った晩御飯を食べないこともあった。
ある日「今日もデートで食ってきたからいいわ」と言ったら、
真希は泣きながらサラダボウルを思い切り投げつけてきて、部屋に閉じこもってしまった。
さすがに真希に悪いことしたと思い、それから夕食は必ず家で真希ととるようにした。
しかし俺も母親も、真希が夏休みの間どこにも行かず、家にこもりきりでいたことに気が付かなかった。
九月になって新学期に入り、俺は相変わらず充実した高校生活を送っていた。
真希はというと、食事のときにもあまり話さなくなり、ぼーっとしていることが多くなった。
食事もなんだか小食になった。一度「何か悩みでもあるのか」と聞いたけれど「ない」の一言で終わった。
まあ真希も進路のこととかあるし、いろいろ考えてるのかなとしか思わなかった。
十月の終わりごろ、久々に彼女と放課後デートをしないで、部活が終わるとすぐに家に帰った。
六時をまわってたから、真希ももう帰ってるだろうと思ったけど、家中電気もついてなくて真っ暗だった。
居間に入ったら足元に真希のかばんがたおれていて、教科書やノートが何冊か床に散らばっていた。
俺は驚いた。かばんから水のようなものが流れ出て床を濡らし、
教科書やノートがふやけていたのだ。その日は快晴で雨など降らなかった。
ノートを指先でつまみあげるととてもべとついて、ジュースか何かで濡らされたのだとわかった。
開いたノートには、大きく「死ね」と書かれていて、他のページにも罵詈雑言が書き込まれていた。
強烈な不安に襲われ、俺は真希の名を呼びながら家の中を捜した。
真希の部屋のドアを開けると、床に座り込んだ真希がいた。
近づこうとして背筋が凍った。真希が、手首にカッターを押し当てていたのだ。
俺は夢中で真希の腕をつかみ、手に握ったカッターをうばった。
左腕には4つほどかさぶたになった傷痕があったが、幸い新しい傷はついていなかった。
真希は制服も濡れていて、顔は長い髪に隠れて見えなかったけれど、
震える肩と部屋に響く嗚咽が俺の胸をついた。真希は静かに泣いていた。
真希を風呂に入れた後問いただすと、真希はぽつぽつと話し始めた。
いじめは4月の終わり頃、真希の友達グループが突然真希を無視しだしたのが始まりだった。
理由をきいたら怒られて、なんだかよくわからないけど謝ったら、無視はしなくなったという。
でも冗談交じりに小突かれるようになって、そのうち笑いながら叩かれたり、
階段で背中を押されたりするようになっていった。
物もよくなくなるようになり、二学期が始まるとノートや教科書に書き込みがされるようになった。
それを見て友達連中は笑いながら「ひどーい!」と言ったらしい。
今日は帰りにその友達連中にジュースを買わされ、そのうちの一人が「暑いでしょ?」
と炭酸のジュースをぶっかけてきて、ほかのやつらも後に続いてきたのだという。
真希は話の途中からずっと泣きっぱなしで、俺はその友達連中に腹が立って腹が立って仕方なかった。
「どうして兄ちゃんや母さんに話さなかったんだ!?なんとかしてやったのに!」
「お母さんいつも忙しいし、……お兄ちゃんには……心配かけたくなかったから」
「なんで!?俺に心配かけるのなんか全然気にすることないのに……」
「お兄ちゃん彼女のことばっかりで、うっとうしがられるかと思ったんだよ……」
真希はまた声もなく泣いた。俺は心の底からすまないと思った。気づいてやらなければいけなかったのに、学校生活に浮かれて真希のことをおろそかにしていたのだ。真希は苦しんでいたのに。
リストカットについては、なんとなく切っていただけで死ぬ気はなかったという。
俺は学校にきちんと言ってやるつもりだったが、真希は学校にしばらく行きたくないといった。
学校が怖いと言う真希に無理をさせるのも危ないと考えて、母には俺がしっかり説明したが、
リストカットについては真希に黙っていてと何度も言われたので伝えなかった。
母は真希に泣きながら謝った。俺も同じ気持ちだった。
それから俺は放課後の部活を早めに切り上げ、彼女には少しだけ事情を話し、
家にできるだけ多くいて真希と話すようにした。
朝出るときに真希が家にいて欲しいと頼んできたら、学校を休んで真希と一緒にいた。
母も以前より早く家に帰ってきたけど、やっぱり大抵夜中だった。
俺はいつも腕を確認させてもらったが、あれ以来切ってはいないようだった。
そうして一週間と少し過ごしたら、真希は前みたいに明るくなり、食事もきちんととるようになった。
なんか小学生の頃に戻ったみたいにべたべた甘えてきたけれど、
真希が追い詰められたのは自分の責任もあったから、まあ仕方ないと思っていた。
その日はしばらくの間かまうことのできなかった彼女が家に来たいと言い出して、
俺は真希のことを考えて断ろうとしたが、彼女が本気で怒りそうだったのでついOKしてしまった。
家に帰って彼女と真希が顔を合わせると、真希は一瞬微妙な顔をしながらも、しっかりと挨拶をしていた。
俺の部屋で俺と彼女は久々に甘い雰囲気になり、キスしたりしていたら、そのうち彼女が求めてきた。
「妹がいるからだめだって」と俺は逃げようとしたが聞いてもらえず、
俺も少し興奮してきて彼女の胸を揉みながらキスをしていた。
彼女が感じてきて、「あっ……」とかあえぎだしたら、いきなり俺の部屋のドアがバンッと開き、
カッターナイフを持った真希がすごい形相で突っ込んできた。
なまじ顔がきれいなだけに、そのときの表情は本当に怖かった。
「変な声聞かせないでよぉ!」と泣きながら、手にもったカッターナイフを俺たちに向けるのでなく、
目の前で左腕に押し付けるようにして、腕をギュジュッと切り裂いた。
かなりの血が床にたれて、彼女は「きゃーーっ!」と叫んでパニくり、
俺はすぐに真希の腕をつかんで救急箱のある居間に連れて行こうとした。
俺が彼女に今日はもう帰れと言うと、彼女はこくこくと頷いてあわてて出て行った。
真希の手当てをしながら「おまえ何考えてるんだよ!?」と言った。
正直俺は腹が立って仕方なかった。明日彼女とは、絶対気まずくなるなるだろうと思った。
「何であんなこと……」「お兄ちゃんがまた私のこと考えなくなると思って、怖くなったの……」
俺はそんな理由であんなことまでするのかと、真希のほうがよほど怖いと思ったが、
泣きじゃくったあとの生気のない顔で謝る真希を見て、怒る気が失せてしまった。
その日は真希がまたどこかで腕を切ったらたまらないから、ずっと真希のそばについていたのだが、
夕食の後二人で居間のソファーに座ってテレビを見ていたら、
いきなり「お兄ちゃん、彼女と私とどっちが好き?」と訊いてきた。
真希は黒のタートルネックに、同じく黒の膝丈くらいの長さのスカートをはいていて、
髪と瞳の黒とあわさってとてもきれいで、そんな真希が体を寄せて囁くみたいに訊いてきた。
「恋人と家族だから、比べられるものじゃないよ」「そういう逃げた答えしないでよ」
「逃げとかじゃなくて、彼女は彼女で好きだし、
家族は同じくらい大事なんだよ。子供じゃないんだからわかるだろ」
言った後で、真希が黙り込んだので、不安感をあおってしまったのかと後悔した。
「……つまり、同じくらい好きだってこと?」真希が無表情に訊いてきた。
その顔を見ると、真希がまた無茶をするんじゃないかと心配になってしまい、「そうだよ」と答えた。
実際、種類は違えど同じくらい愛情を感じていると思っていた。
俺の答えを聞いて真希は、うつむいたままぴくりとも動かなかった。
「真希のほうが好き」と言うべきだったのかと考えて、
今からでも言い直そうかと迷っていたら、真希はがばりと俺に抱きついてきた。
抱きつかれることには慣れていたので別にどうとも思わなかったが、次の瞬間キスをされていた。
頭突きみたいなキスだったが確かに唇があわさって、これにはさすがにあせり、戸惑ってしまった。
押しのけようとしたけれど真希は唇を離そうとせず、やっと離れたと思ったら、
「同じくらい好きなら、今日みたいなこと私にもできるってことだよね?
私ともセックスできるってことだよね?」と信じられないことを言ってきた。
俺はもう、は?何言ってんだこいつは?って感じで頭が一瞬トンでしまった。
その間にも真希は「ねえ、セックスしてよ……ねえ……」と言って抱きついて、またキスをしようとした。
俺は本当に困惑して、「お前何言ってるんだよ!?そんなことできるわけないだろ!?」
とかなり強く真希を突き飛ばしてしまった。真希はよろめきながら後ろに下がったが、
俺を見たかと思うと間髪いれずに台所に向かって走り出したので、俺は慌てて追いかけた。
カッターは隠したけど、台所にそれ以上に危ないものがいくつもあることを忘れていたのだ。
何とか刃物をつかむ前に止めたが、真希は華奢な体からは想像もつかないな力で俺の手をはがそうとした。
「なんであの女とはできて私とはできないの!?ホントは私のことなんてどうでもいいんでしょ!?
もういい!私なんか死ねばいいんでしょ!?」
「真希、そんなこと言うな。俺は真希のこと好きだから、な?」「じゃあ何で駄目なのよ!?」
俺は法律がどうとか道徳がどうとか言ったが、真希は全然聞きいれなくて、
ひたすら泣き喚いたあと俺にまた抱きついてきて、しばらく声を殺して泣いた。
何とか落ち着かせようと延々と言い聞かせたが、結局無駄だった。
「お兄ちゃん、怖いんだよ……。一回だけでいいから……そうしたらもう死ぬなんて言わないから……」
それは、拒絶されたら死ぬという言葉に聞こえ、俺はもうどうすることもできなかった。
真希がキスを求めてくるのをはねのけることができなかった。
台所のテーブルの脇で、俺と真希は長いキスをした。俺はなんとも不思議な気分だった。
妹というと、女というよりは家族であり、中性的な感じで、異性とキスをしている実感が湧かなかった。
キスが終わると真希は目を潤ませて「私のおっぱい触って……」と、俺の手を握り胸元に持っていった。
服の上から真希の胸のふくらみに触れたとき、俺は初めてどきりとした。妹に女を意識してしまったのだ。
そんな自分に驚いてしまい、真希の胸に触れたままどうすることもできず、
しばらく停止していると、真希は「いつも彼女としてるみたいにしてよ……」と言ってきた。
戸惑いながらまだ小さめの胸をゆっくり揉むと、真希は体をぴくりと震わせ、息が荒くなっていった。
だんだん俺も興奮してしまい、真希の服のすそを胸の上までブラといっしょに押し上げ、直接手で揉んだ。
たまに乳首を軽くつまんだり、なめたりすると真希は「ん……」
と声を出して、肌が薄赤色に染まっていく気がした。感じてるんだと思い、乳首を念入りになめ、
吸い続けると、真希は目をつぶって口を閉じたまま「ん、ん……」とまたかわいい声を出した。
真希のスカートの中に手を入れようとして、(本当にいいのか?やばいだろ?どうする?)
という考えが頭に浮かんだが、少し触れた真希の内太ももがじっとりとした汗と温かい汁に濡れていて、
思わず俺は真希の股間を撫でさすっていた。パンツはかなり濡れていた。
俺が指の腹でさするとますますたくさん汁が出てきて、パンツの脇から直接あそこを触ってみると、
真希は一瞬びくっと引いたが、すぐに指にあそこを押し付けてきて腰をよじらせた。
真希の荒い息とたまに出す喘ぎ声に興奮し、俺は夢中で真希のあそこをいじりまわした。
あまり触れたことがないのか、真希の秘所はかたく閉じた感じで、
指は先っぽしか入らなかったけれど、それでも何度か抜き差しするとほぐれてきたようで、
俺の指に絡まる真希の愛液はますます多くなり、とろみを増して粘りついてくるようだった。
暗い台所の中に俺の指が真希の秘所を出入りするくちゅくちゅという音と、
二人の呼吸と、エッチなにおいみたいなものが充満して、俺は何も考えられなかった。
真希のいやらしい反応が見たくて、ひたすら胸を揉みあそこをかき混ぜると、真希は
ひざをかくんとして俺から離れた。「お兄ちゃん、待って……」
赤く火照った顔で俺を見つめて、真希はスカートのホックをはずしストンと床に落とした。
胸をあらわにし、下半身は濡れた下着だけに包まれた真希がしなだれかかってきて、
俺の股間のふくらみに手を触れてきた。「……お兄ちゃん、大きくなってる」俺はハッとした。
(俺はこんな台所で自分を「お兄ちゃん」と呼ぶ妹を裸にして、一体何しようとしてるんだ?
何血のつながった妹に欲情してるんだ?どう考えてもおかしい、いけないことだろ?何考えてるんだ?)
そんな思考が頭をめぐったのもつかの間、俺に抱きついてきた真希は俺の手にぐいぐい股間を押し付け、
愛液をぬりつけるかのように腰を上下に動かし、「ぁうんん……」と喘ぎ声を上げた。
俺はその切ない声で脳みその芯がカーッと熱くなり、真希を乱暴に抱きしめて押し倒していた。
これは真希のためなんだと、自分を納得させてしまった。
真希は自分から足を広げて、俺がパンツを脱がそうとすると腰を少し上げたので、簡単にパンツは脱げた。
薄い陰毛に隠れたあそこから内太ももまでぬらぬらに濡れていて、真希の俺をみつめる顔も、
どうしようもなくエロく見えて、俺のちんこはますます硬さを増していた。
俺は無言でちんこの先を真希のあそこに押し付け、真希も無言で俺を見つめていた。
ゆっくり、ゆっくりと腰を沈めていった。亀頭が入りきるあたりで真希が、
「いっ……」と小さく声を上げ目をつむり、俺の背中をぎゅっと抱いた。
俺もものすごい締め付けを感じて、これ以上は入らないんじゃないかと思ったけれど、
少し抜いては挿してをくりかえして、気づいたら根元まで真希の中におさまっていた。
(……俺のちんこが、真希のあそこに……妹の中に入ってるなんて……)
そう思うと大きな背徳感とともに快感が押し寄せてきて、俺は真希の肩をおさえて腰を振り始めていた。
真希はたまに「お兄ちゃん……お兄ちゃん……」と声を出し、苦しげに息を吐き出すだけだったが、
途中からぎこちなくも腰を動かし始め、俺は真希の膣のうごめきがたまらなく気持ちよくて、
ほんの二、三分で真希の腹の上に精子をまき散らしていた。
真希は終わった後しばらく足を広げたままぐったりとしていたが、やがて起き上がり、
「ありがと」と言って俺にキスしてきた。その時の少し上気した真希はやっぱりどうしようもなく可愛く、
愛しく感じてしまい、俺はしっかりとキスを返していた。
しかし、だんだん冷静になって真希の腹や服についた自分の精液をみると、
凄まじい罪の意識に襲われ、気分ががくりと落ち込んでしまった。
そんな俺を気遣ってか真希は「私が無理に頼んだんだから、お兄ちゃんは気にしなくていいんだよ」
と笑って言ってくれたのだが、その言葉にむしろますます自分を情けなく感じ、真希に申し訳なく思った。
母親が帰ってくるまでに台所の床を濡らした愛液や処女血をふき、服をきちんと洗って後始末をした。
真希は「ちょっと痛かったよ~」などと冗談めかして話し掛けてきたが、
俺はまともに反応できず、母が帰ってきたときも母の顔を正面から見ることができなかった。
その夜真希は「怖いからお兄ちゃんの部屋で寝たい」と言い出し、
何も知らない母は「そうしなさい」と、俺に真希を部屋で寝かせるように言った。
夜中に真希は俺の上にまたがってきて、結局その夜もう一度してしまった。
次の日から真希は「いつでもお兄ちゃんが助けてくれると思えば、大丈夫な気がする」
と言って、学校へ再び通い始めた。俺は彼女に「昨日はごめん」と謝った。
いろんな意味をこめて何度も頭を下げた。彼女は真希の乱入のことだと思ったようで、
「K君も大変だね」と言いながら、笑って許してくれた。
真希が通いやすいよう、俺と母は真希には内緒で休みの理由を担任に告げ、注意してもらうように言った。
それでも真希は無視をされたりするようで、学校に行っては休みのくり返しだった。
休むといっても週に三日は学校に行くし、以前の危ない感じに比べて、
ずっと落ち着いた雰囲気になったので、俺も母も安心していた。
俺はあのことがあってからしばらくの間、真希とまともに話せなかったけれど、
真希は何事も無かったかのように俺に接してきて、べたべたしてくることも無くなったので、
二週間ほどでようやく普通に話せるようになった。
たまに真希はあの時の服装で俺に体を寄せてきたりしたが、そういうそぶりには反応しないようにした。
一緒の部屋で寝たがってキスされることもあったが、寝たふりをしてやり過ごした。
彼女とはしっかり謝ったこともあって変わりなかったけど、彼女はもう家に来たいとは言わなかった。
デートもなるべく家の近所ではせず、放課後高校の近くの公園とかで二人の時間を楽しむことにしていた。
ある日いつものように部活を終えて、彼女と話してから家路につくと、
同じく学校から帰る途中の真希とばったり会った。真希にしては遅い時間だったが気にしなかった。
二人で談笑しながら歩いていると、真希が「最近彼女とはどう?」と訊いてきた。「え、どうって……」
「前に私おかしくなって、お兄ちゃんの部屋で腕切ったでしょ?気まずくなってたら悪いなと思って」
「んーそのことなら気にしないでいいよ。たしかにちょっと気まずくなったけどすぐ元に戻ったから……」
「……最近も彼女さんとああいうことしてるの?」「してないよ」
「キスとかも?」「あんまりそういう雰囲気にならなくて……」
真希が俺と彼女の関係が壊れることを心配してくれたのは嬉しかったが、
彼女との付き合いについては本当のことを喋るのは危ない気がして、嘘をついた。
本当は、彼女とはあれからもセックスはしたし、その日も公園でキスをして別れたばかりだった。
真希は「そっかー……」と言ってたわい無い話に戻ったので、俺は安心してしまったのだが、甘かった。
リストカットがわかってから、真希には極力刃物をつかませないようにしていた。
しかし本人はもうあんなことはしないと言っていたし、実際していなかったので、
真希が夕食を作るときに包丁を握ることもあまり気にしなくなっていた。
その夜も真希は夕食を作るために台所に立ち、俺は居間のソファーに座ってテレビを見ていた。
台所からは野菜か何かを切る音が聞こえていたのだが、
突然ダンッと少し大きい音がして、真希が「いたっ」と声をあげた。
「どうした?指切ったのか?」「うん……。いたい……」俺は救急箱を持って台所に向かった。
その間真希は「いたっ。いたい。いたぁ……」とずっとつぶやいていた。
そんなにひどい傷なのかと心配し、慌てて真希の手元を覗き込んで、愕然とした。
まな板の上に広げられた手の指や甲、腕にかけて、生々しい傷が何本かできていた。
まな板には血がじんわりと広がり、皮の剥かれた切りかけのジャガイモに染みて、変に赤く見えた。
「いたい…」顔に表情を浮かべず、抑揚の無い声でつぶやきながら自分の手の甲に包丁を押し付けていた。
えぐるように動かすとまた皮膚が裂けて血が出てきた。俺は何とか包丁を奪おうとしたが、
かなりの力で包丁を押し付けていて、真希は抵抗するうちに「痛い、痛い……」と泣き出してしまった。
「お前何考えてるんだよ!?やめろっ!!」
何とか包丁の刃先を傷口から離して、怒鳴りつけると、真希はますます涙を流した。
「お兄ちゃんさっき嘘ついたでしょ」「え……?」「今日ホントはキスしたでしょ…。私、わかるよ……」
包丁片手に嗚咽を漏らす真希に、俺は一瞬ぎくりとしてしまった。
「何で嘘つくの?本当はセックスもしてるんでしょ。なんでそういうことするの……?」
包丁を握った手にますます力をこめる真希に、俺はとうとう謝った。
「……ごめん。キスした。ごめん。でもセックスはしてないよ。
本当に。だからとりあえず落ち着いて手当てをしよう。な?」
セックスについて認めると真希はますます激高すると思い、また中途半端に嘘をついた。
だらりと下げた真希の左手の先からは、血がぽたぽたと床に落ちて、痛々しかった。
「もう彼女とキスしないって約束して……」
じっと見つめてくる真希に正直困ったが、とにかく手当てをしたかったので頷いてしまった。
真希は指、手の甲、腕にあわせて四、五ヵ所傷をつくっていて、料理は無理だった。
仕方が無いので切ってあった野菜を使って俺が具の少ないカレーを作り、二人で食べたのだが、
食事の間真希はさきほどとはうって変わって明るく話すので、
俺は真希がどこかおかしいんじゃないかと思ってしまった。
その次の日もやっぱり、放課後高校の近くの公園で彼女とデートをし、別れ際にいつもどおりキスをした。
前の晩の真希との約束を思い出して、一瞬ためらったけれど、まあ大丈夫だろうとキスをした。
夕闇に包まれた公園と言うのはなかなか雰囲気が良くて、彼女と俺はキスを繰り返していたんだが、
何回目かのキスをした時公園の入り口の方からガチャンと音がした。
ちらっと顔を向けてみて、俺は自分の目を疑った。
入り口から少し入ったベンチの脇に、黒いセーラー服に身を包んだ女の子がいたのだ。
片手に学校カバンを持ち、包帯を巻いた手に割れたガラス瓶を握るその女の子は、まぎれもなく真希だ。
少し暗くて表情は見えなかったけど、ガラス瓶を握って微動だにせずたたずむ姿は、怖すぎた。
(なんであいつこんなところにいるんだ?)
ひょっとして高校からつけられたのかと考えると、もう妹の甘え心ではすまないと思った。
彼女は気づかずにまたキスを求めてきて、割れたガラス瓶は明らかにやばいと思った俺は、
できるだけ陽気な声で真希に呼びかけた。
「おー、真希ー」気勢をそごうと思ったわけだが、声がすこし震えてしまった。
彼女は「え?」と辺りを見回し、真希はびくりとして戸惑ったそぶりを見せたかと思うと、
ガラス瓶をさっと捨てておずおずと歩み寄ってきた。
この上なく緊張したが、真希は「この前はどうも…」と非常に礼儀正しく彼女に挨拶し、何事も無かった。
しかし、家に帰ってからがひどかった。家に入るなり真希は居間の花瓶を割って、
その破片に限らず尖った物なら何でも手に握ろうとするので、止めるのに必死だった。
「嘘つき!今日もしてたじゃない!私ずっと見てたんだから!!」「おまえずっとつけてきてたのか?」
「お兄ちゃんが嘘つくからよ!もう私学校行かないから!私が学校行ってる間にあの女家に連れ込んで、
セックスしてるんでしょ!?やっぱり私のことが邪魔なんでしょ!?どうしてあの女とはできて、
私とは何もしないのよぉ……。同じくらい好きって言ってたのに…ホントは私なんか嫌いなんでしょ……」
真希はめちゃくちゃにわめいて、しまいには泣き出した。
俺はずっと俺をつけてきたり、すぐに自傷にはしる真希を、正直どうかしていると思った。
目の前で目元をこすって泣いている華奢な女の子は、確かに可愛い妹だったが、怖くもあった。
(何で俺が悪者になるんだ?何で俺が謝らなきゃならないんだ?)
そう思いながらも、花瓶の破片を握ってできた傷を手当てして、俺は真希に謝った。
真希は嗚咽を抑えて、ソファーに座って手当てをしていた俺の頭をぎゅっと抱きしめてきた。
「……ねえ、私にもキスしてよ……セックスしてよ……。不安なんだよ……。
本当に私のことが好きならお願い……。そしたらきっと大丈夫になるから……迷惑かけないから……」
真希は涙目ですがるようにしてきたのだが、もう俺のほうが泣きたいというか、絶望的な気分だった。
どうせ真希は何を言っても聞きはしない。どうしたらこいつを止めることができるんだ。
誰か助けてくれよという感じだった。
脱力感と疲労感の中でなすすべも無くキスされて、ソファーに押し倒された。
俺の上に覆い被さってまっすぐに見つめてくる真希の顔は、長い髪が横にさらりと流れてとてもきれいで、真っ黒い瞳には確かに愛情が溢れているようだった。
俺は真希の制服の上着のすそに手を入れ、ブラウスの上から胸を揉んだ。
(どうしよう、どうすればいいんだ……)何とか真希をおさめる方法はないかと、まだ考えていた。
そんな俺に不満があったのか真希は「もっと……ちゃんとして……」
と言って、体全体をずるりとこすりつけるようにしてきた。
「ちゃんと私のこと好きだってわかるようにして……。
そうすれば……私とセックスしたこと、彼女に言わないから……」
(それってちゃんとしなければ彼女に言うって事か!?)本気で驚いた。脅しにしか聞こえない言葉だ。
(こいつは、俺のことを脅すのかよ……。俺はこいつのことが本当に心配で、
少しでも支えになってやれればと思って頑張ってるのに、それでも俺を脅すのかよ?何なんだよ……)
怒りとも悲しみともつかぬ感情が胸を支配していき、何かがはじけて、俺はがばりと起き上がった。
逆に真希を押し倒し、制服の黒スカートを捲り上げて、パンツを一気にずり下げ、
感情に突き動かされるままたいして前戯もせずに、真希のあそこにちんこを突っ込んだ。
そんなにしたいならめちゃめちゃにしてやろうと、そんな気持ちだった。
思い切り挿し込んだのだが、真希のあそこはすでにかなり濡れていて、
まるで喰いつくみたいに俺のちんこをのみこんでいった。
真希の細い腰を持って乱暴に突きまくるとチュッチュッとやらしい音がして、
ソファーやひざまで脱いだ俺のズボンに真希の愛液がぽたぽたたれた。
真希のマンコに俺のちんこが出入りしている様子がよく見え、黒の冬用のセーラー服に身を包んだ真希が、
まだ幼げなあそこをあらわに、体内にちんこをくわえこんで汁をまき散らす姿は、興奮を加速させた。
真希は最初、目を閉じて苦しいのか気持ちよいのかわからない熱い呼吸をするだけだったが、
そのうちソファーや俺の胸元をかきむしるようにして声をあげ始めた。
「う……ぅうん……んっんっんっ……」
俺の腰の振りにあわせて真希も腰を動かし、二人で抱き合って狂ったみたいに陰部をぶつけ合った。
真希とのセックスは三度目だったが、吸い付くような締め付けは相変わらずで、
ひたすら突きまくったらすごい射精感に襲われ、真希のスカートと腹に勢いよく精液を飛ばしてしまった。
一度出しても全然おさまらず、今度は真希にソファーに手をつかせ、
足は居間の床に立たせて、尻を突き出すようなポーズにさせた。
真希は俺の言うままに無言で尻を向けてきて、赤くはれたみたいになった真希のマンコから、
愛液がつぅっと垂れるのが丸見えだった。
スカートが邪魔に感じたが脱がすのも面倒だったので、うまく腰にかかるようにした。
白く丸い尻をぐいっとつかんで、またねじ込むようにまきの膣にちんこを入れると、
真希は背中をそらして大きく息を吐き、ぶるりと震えた。
抜き差しをくりかえすごとに、床にピュルッと汁が飛んで、真希は太ももからひざまで濡らしていた。
尻を腰で持ち上げるかのように下の角度から突きまくり、真希の膣の肉を削るようにグリグリ突くと、
「いい……お兄ちゃん……んう!いいっ!」と今までに無く高い声をあげて、真希は体をこわばらせた。
その瞬間真希の膣がギューとちんこに絡み付いてきて、やばいと思ったときには射精してしまっていた。
射精と同時に真希はひざをがくがくさせ、ソファーに突っ伏すように崩れ落ちたので、
ちんこがずるりと真希のマンコから抜けて、真希の尻にも精液が飛んだ。
彼女とのセックスよりもずっと気持ちよく感じてしまい、すぐにちんこも回復して、
何も考えずにまた真希のあそこに突っ込んでいた。真希は肩をぴくりと動かしたが、ソファーに肘をつき、
床にひざを突いた姿勢で俺のものをうけいれ、すぐにまた声を出し始めた。
精液のせいか、ブヂュッブヂュッとますますやらしい音がつながっているところから響き、
制服の上から胸を揉むとますます真希の嬌声は大きくなって、それがさらに性欲を刺激した。
「お兄ちゃんっお兄ちゃんっお兄ちゃんっ!んうっ!んっ!」「真希、声、声」
髪を振り乱してあられもない声をあげる真希に注意すると、
真希はソファーに顔を押し付けてうめき声と鼻からの声を出した。
一度出してしまったからもういいやと半ばやけになって、俺は真希の中に何度か中出ししてしまい、
それでもおさまらずに延々と突き続けた。ようやく終わった頃には俺も真希も足腰が立たなくなっていた。
「不安になった時だけでもいいから、抱いてね。そうすれば私の見えないところで彼女と変な事しても、
ちゃんと我慢するから。お兄ちゃんを困らせたりもしない。だから、ね?」「……わかったよ……」
息を整えながらあまり表情を変えず、でも懇願するような声で言う真希に、
俺はこう答える以外もうどうしようもなかった。断ってもまた真希は何か無茶をすると思った。
真希はかすかに微笑んで、俺に抱きついてきた。
真希が股間から流れてくる俺の精液をティッシュでぬぐっている姿を見ると、
妹にどうしようもない劣情を抱いた自分が呪わしく思え、妊娠という言葉が頭を巡り、
以前と同じく死にたいぐらいの罪悪感に襲われた。
沈み込んでいる俺を傍らに、真希はやっぱり以前と同じく居間の掃除を手際よくこなし、
母が帰ってくるまでに家の空気を入れ替えて、夕食も簡素ながらきちんと作った。
手の傷があったので、水廻りは俺がやった。真希は「不安になった時だけ」と言ったが、
キスは一日に何回も求められ、二日に一回は「不安」になって、セックスをすることになってしまった。
この翌日は、真希は制服を洗ったこともあり学校を休んだが、
その次の日から期末テストが終わるまで毎日学校に通った。
テストも見事な成績で、中三二学期での長い欠席は高校受験のときの内申にかなり不利になるけど、
なんとかつなぎを残せたという感じだった。
「お兄ちゃんのおかげだよ」という真希の言葉に、これで良かったんだと信じるしかなかった。
幸い妊娠はせず、この出来事で俺と真希は継続的に関係を持つことになってしまった。