いつものようにテレビを眺めながら酒をチビチビやって、そろそろ寝ようかと思った頃だった。
たぶん、あれは11時前くらい。
いきなり玄関のチャイムが鳴って応対に出ると、ドアの向こうに立っていたのはオカン。
「早く開けて!」
ただごとならぬ気配に慌ててドアを開けると、オレの顔を目にした途端にオカン大号泣。
「ど、どしたのよ!?」
まったくわけわからず。
玄関を開けっ放しにも関わらず、オカンはオレの襟首をすごい力で掴んだまま、胸に顔を埋めて泣きっぱなし。
足下には大きなバッグ。
まだ雪は降る前だったが、ひどく冷えた夜で応対に出たオレはTシャツ一枚の姿。
とにかくこんな所じゃなんだからと、部屋の中に上げて落ち着くのを待ってから事情聴取開始。
「女がいたのよ!」
ああ、そゆことね・・・。
どうやら親父に女がいて、それが発覚したらしい。
まだまだ元気だこと・・・なんてなこと考える間もなく、それから2時間以上もオカン劇場を繰り返され、泣いたり怒ったりの恨み辛みを聞かされる羽目に。
その中でオカンがやらかしてくれたこと。
「ワタシだってね!あんな小娘なんかに負けないくらい自信はあるんだからね!」
なんの?
「それをあんな若いだけの小娘に言いように騙されて!全然しなくなったから、おかしいと思ってのよ!」
声がでけえよ・・・。
親父の相手、そんなに若いのか?
つか、まだしてたんかい!
確かあんた50前じゃなかったっけ?・・・。
いまだに現役かよ・・・。
「お母ちゃんだってね!相手さえしてくれたら、今だってちゃんと喜ばせてやれるんだからね!それをあんな小娘に・・・。ワタシだって、あんな小娘に負けないくらいすごいんだから!」
いつの間にかテーブルに置きっぱなしにしていたウイスキーのボトルが減っていた。
お前・・・それ、たけえんだぞ!
とは言えず、オカンがぐいぐいグラスを煽っていくのを呆気にとられて眺めているだけ。
「あんた!確かめてみるかい!」
こっちに飛び火。
目が座って、世の中すべての男が敵です状態。
「わかった、わかった。すごいのはわかったから、もう寝ろ・・・。」
明日も仕事。
時計を見たら、すでに1時過ぎ。
「何がわかったのさ!?あんたもお母ちゃんのこと馬鹿にしてるでしょ!?」
おざなりな言いぐさが気にくわなかったらしい。
「いい加減にしてくれよ・・・。」
泣きたい気持ちになっていた。
なんで、こんな夜中に・・・。
ウンザリしながら、そんなことを考えてたらさ・・・。
「そうかい、わかったわよ・・・。だったら見せてあげるよ・・・。ちゃんと見て、あんたもワタシがどれだけすごいか確かめてみな!」
言うなり、おもむろに立ち上がったと思ったら、あっという間に脱ぎだした。
「ば、ばか!」
慌てて止めに入ったが、オカンすでに半狂乱。
止めようとすればするほど、ムキになって脱ぎたがる。
喚くは叫ぼうとするはで、こっちはオカンの口を塞ぐだけ手一杯。
やっと落ち着いたときには、ほとんど全裸に。
下着なんか自分で引き千切ってたから、荒い息を吐きながら立ちつくしたときには、強姦されたみたいになっていた。
オカンの生肌なんか拝んだのは、ん?年ぶりのこと。
細いわりには、ちゃんと出るところは出てた。
それに、それほど垂れてもいなかった。
確かに、仰る通り・・・。
なんてなこと考えるはずがない。
「いい加減にしろ!バカ野郎!」
夜中にいきなりやってきて酔っぱらった挙げ句にキレられ、こっちもキレないわけがない。
「いい年して何してんだ、アホンダラ!」
マジギレして怒鳴りつけたら、ようやく正気に戻ったらしい。
「なんで、みんなでワタシばっかり悪者にするのよぉ・・・。」
いきなり顔を歪めて泣き出した。
キレたあとは、泣きかい・・・。
こっちが泣きてえよ・・・。
オカンは、えぐえぐ鼻水垂らしながら泣くばかり。
「もういいから、寝ろよ・・・。」
何をされたところで親だから邪険にすることもできん。
肩を抱いてベッドに連れてく間も、オレに縋って泣き続けていた。
「風邪引くぞ。」
と、言ったところでオカンは泣いてるばかりで、着替えるつもりもなく、仕方なしにオレのベッドに寝かせて、丁寧に布団を掛けてやると、そのうち泣いたまま寝ちまいやがった。
布団はひと組しかないし、ベッドは占領されてるから、必然的にオレは床の上。
たまたま残っていた毛布一枚を掛けただけで横になったわけだが、メチャクチャ冷えた夜だったから、寒さが堪えて、なかなか寝るに寝付けない。
仕方なしにストーブにあたりながら、残った酒をまたチビチビやっていると、今度はオカンがいきなり飛び出してきてトイレに走り込む。
えろえろ、やってる音が聞こえて、しばらくリバース。
水の流れる音が聞こえ、やっとトイレから出てきたオカンはそのままベッドに戻るかと思いきや、ふらふらとオレのところにやってきて、「寒いから一緒に寝ようよ・・・。」と背中から俺に抱きつきながらお誘いの弁。
まだ裸のまんま。
それも全裸。
そら、寒いわな・・・。
親なんだから欲情なんかするわけがない。
見慣れた顔だぜ。
ガキの頃から見飽きるほどに見てきた顔だ。
体だって確かに年のわりには立派かもしれんが、それにしたって若い女に敵うはずもない。
オカンよりいい女なんてごろごろいるさ。
たぶんオカンは寂しかっただけで、オレに一緒にいて欲しかっただけだと思う。
あのニュアンスは、きっとそうだよな・・・。
オレの親とはいえ、そんなことを自分から望むほどアホじゃない。
そんなことはわかりきっていた。
「寒いなら、服ぐらい着ろよ・・。」
「やだ・・あんたが温めてよ・・・。」
きっと親父にフられて、オレに甘えたかっただけだったんだ。
そんなことはわかりきっていたから、少しだけ可愛そうになって、一緒に寝るつもりになったのさ。
「狭いから、もっとそっちいけって。」
「あんたが、こっちに来ればいいでしょ。」
狭いベッドの上でオカンを背中から抱きしめながら、言われた通り腕の中で温めてやった。
匂っていたのは、酒の匂いとゲロの匂い。
いい加減にしろよ・・・なんて、腹の中で毒づいたりもしたが、でも、目の前にある長い黒髪の甘い匂いだけは、何とも言えない心地よさがあった。
素っ裸のオカンを抱いて眠るなんて、一生に一度あるかないかの体験。
つか、あり得ねえ・・・。
異常な体験過ぎて、浅い眠りを繰り返したからか、何度目かに目が覚めたとき勃起している自分に気が付いた。
腕の中には柔らかい体。
ほんの少し腰を突き出すだけで、チンコに当たるのはオカンの気持ちよさそうなケツ。
あかんわな・・・。とは思いつつも、次第に興奮はMAX状態に。
聞こえていたのは、こっちの気も知らんとすやすや眠るオカンの深い寝息。
ちょっとだけなら、ばれないかも・・・。
なんてなこと考えたら、そこからは素早かった。
そろそろとゆっくり下ろしていったオレのパンツ。
腫れたようにでかくなったチンコを、気付かれないようにオカンの尻の割れ目にそっと押しつけると、触れた生温かい肌は、過去に知ったどんな女たちよりも柔らかくて気持ちよかった・・。